安岡正篤一日一言より

苦言は人のため/安岡正篤一日一言

甘・苦・渋の三味は決して別のものではない。三味が一つに融け合っていて、甘味の中に苦味・渋味、苦味・渋味の中に甘味がある。
甘味が苦味・渋味にならぬと、本当の甘味ではない。
そのことを茶道のベテランは皆知っておる。
人間も甘いうちは駄目で、少し苦味が出て来ないと本物ではない。
言葉でも、本当の為になる言葉は多く苦言であります。
「苦言は人のためになる」と言いますが、実際その通りでありまして、甘言を愛するようではまだまだ出来ておらぬ証拠であります。