大晦日に送る「心暖まる話」

『それは 寒い寒い 大晦日のことじゃった。おじいさんは 編んだ笠を町に売りに行った…』で始まる  お馴染みの日本昔ばなし「かさじぞう」。

 30数年ほど前のこの日、当時5歳の娘と一緒にテレビで観ていたのを思い出す。

 結局 笠はひとつも売れずに 雪が降りしきる中を おじいさんは、おばあさんが待つ家に帰るのだが…

途中、6人のお地蔵様が雪をかぶっているのを ふびんに思い、売れ残りの笠をお地蔵様たちにかぶせる。

 家に帰ったおじいさんは、一部始終をおばあさんに話す。

すると おばあさんは、

「それはそれは いいことをなさいました、お地蔵様もきっと喜んどられるじゃろ」と言って、明日のお正月に食べる餅も買えない中で、ふたりは寝てしもうた。

 私は、このおばあさんが言った言葉が今でも忘れられない。普通だったら「もったいない…どうしてそんなことを…」だろうか。

 夜中に物音で おじいさんとおばあさんが目を覚ますと、笠をかぶったお地蔵さん達が、餅や米俵やお魚をいっぱい家に運び入れていた。

 師走になると、私はいつもこの話を思い出す。

心が暖まる。