お子様ランチ

ディズニーランドの内のあるレストランで、若いご夫婦から、お二人の食事以外に「お子様ランチ」を注文された、一人のキャスト(従業員)のお話です。
その店では、「お子様ランチは八歳以下にしかお出ししない」ことになっていました。

そこで、従業員は、「どなたが召し上がられるのですか」を尋ねたそうです。
ちょっと沈黙の後、返ってきた答えに、彼女はハッとします。
なぜなら、それはお二人の亡くなられたお子様のためのものだと分かったからです。

お母様のお話では、その日は亡くなられたお嬢様のお誕生日だったとか。
いつかは家族三人でディズニーランドに行こうね、と約束していたそうなんですが、それが果たせないまま、お嬢様はお亡くなりになられたそうです。

「もし、可能なら、ここのお子様ランチを、娘に食べさせてあげたいと思って、お邪魔したんです・・・」
そのお話に従業員は、こみ上げてくる涙を堪えて、精一杯の笑みを浮かべ「承知しました」というと、四人掛けの席に子供用の椅子まで用意し、「三人様こちらにどうぞ」とお二人をご案内しました。

その間、上司にも相談せず、瞬時の対応だったと聞いています。
「本日はよく来てくださいました。ご家族で楽しんでいってくださいね」
お二人はそれはうれしそうに涙を浮かべ、お子様ランチを囲みながら、お食事をされていったそうです。