我が家では「でも」と「だって」は禁句でした。
「でも」「だって」という言葉が私の口から出た瞬間、
誰も話を聞いてくれません。
母はすぐさま「でももだってもありません」と
私の口を封じます。
行わなかったのは他でもない自分自身であるのに、
それを棚に上げて、責められたことに対して
不平不満を言っているようなものだからです。
「一度すると決めたことについて、
ああでもないこうでもないと言うものではないんだよ。
ましてすると言ってできなかったことに、
でももだってもないからね。
そういう態度は弱腰といってね、
おのれの弱さをごまかすために
口を動かしているにすぎないのですよ」
武士道は知行合一・言行一致を重んじます。
言ったことを行うのは当たり前なのです。
もちろん、それは並たいていなことではありません。
だからこそ幼いころから、
「言ったことはする」「しなかったことに言い訳をしない」
ということを徹底して教え込まねばならないのです。
口ではいろいろ言いながら行動が伴わない人は
誰からも信頼されません。
すぐに「でも」「だって」と言い訳する人は、
結果的に敬遠されてしまうでしょう。
「言い訳するほど品性は落ちていくものですよ。
言い訳というのは自分の言葉や行いに責任を持とうとしない、
不誠実な行為です。
いくらうわべをよく見せていようとも、
心に誠のない者は品が感じられないものだよ」
武士の娘だった祖母から教わった
気品ある女性になるための心得50
『女子の教養(たしなみ)』
石川真理子・著